話してくれた方 | 20代女性 ANさん |
疾患名 / 併発・特性 | 双極性障害 |
発症時期 | 2014年7月頃 |
発症のきっかけ・当時の状況
中学1年生の春に過敏性腸症候群(IBS:ストレスを感じるとお腹の調子が悪くなる病気)になり、いじめを受けたことがきっかけです。 IBSの症状は人により様々ですが、私の場合は、非常に高い頻度でガス漏れをしてしまうことが主な症状でした。思春期の学生にとって匂いの問題は話題になりやすく、IBSの罹患と同時にいじめを受けるようになり、気分が落ち込むことが多くなっていきました。 3年ほど経ったある日、糸が切れたように突然学校に通うことができなくなり、校医に事情を説明したところ、メンタルクリニックを紹介され、診断に至りました。
周囲の理解をなかなか得られなかったこと、また生活能力及び情報処理能力が著しく低下したことの2つが特に苦しかったです。 私が精神障害を罹患した頃は、今ほどメンタルヘルスの問題への認知が拡大しておらず、不登校気味であることに対して「甘え」だという意見を多くいただきました。自分自身もそう思っていたので、休養すべきタイミングで上手に休むことができず、苦しい時間が長くなってしまったと感じています。 また、生活リズムを始めとする生活のあらゆる基盤が崩れたことで、病気をさらに悪化させてしまいましたし、情報処理能力の低下は学業やアルバイト、就職活動に取り組む上で大きな障壁となりました。
🗣 病院・カウンセリングについて
病院・カウンセリングの通院状況
学校の校医に勧められ通院を始めました。 最初は2週間に1度診察があり、薬との相性を見ながら治療を進めていきましたが、現在は状態が安定したため4,5週間に1度の診察となっています。 診察については、まず初診が30分ほどあり状況の聞き取りが行われました(口頭で説明することに自信のない方は、メモに書いて担当医に渡すのも一つの方法です)。 その後の診察では、5分〜15分ほど、前回の診察からの気持ちの変化と(余裕があれば)そのような変化が起きた原因についての考察、また薬の効果・副作用について実感するところをお話ししています。
病院・カウンセリングの選び方
自分の求めているスタイルでコミュニケーションが取れる病院を探すと、安心して治療に臨めると感じています。 私の場合は、障害の勉強を自主的に行う中で生まれた疑問に対して、丁寧で明確な返答をもらえる環境が合っていると考えていたので、根気よく話に付き合って医学的な見解を教えてくださる今の病院に通っています。 人によっては、とことん傾聴してもらうスタンスが合う方もいれば、はっきりと現実的な意見をもらいたい方もいるので、ご自身の性格や性質を考慮して、できればいくつかの病院に足を運び、よりストレスなく病気と向き合える環境を見つけられるとよいと思います。(ですが、特に急性期の方にとっては多大な労力を要することですのでご無理なさらず...!)
それから、無理せず通える距離に病院が位置していることや、通院が難しい状態の際に電話診療で対応していただけることも、通院を継続する上で非常に大切なポイントでした。
😌 回復までの流れ
回復までの流れ-兆し・きっかけ
回復の兆しを感じた出来事は、「ひま」を感じることができるようになったことです。 それまでは時間があれば(なくても)ただひたすら眠っており、そのことに対して何の感情を抱く余地もなかったのですが、徐々に起きている時間が増え、「暇だなあ」「何しているんだろう」と思うようになりました。自分を責めてしまうと十分に心の充電ができないので「何しているんだろう」などと考えることはあまりよくないのですが、「そういった感情が芽生えたということは、回復への第一歩を踏み出せたということだよ」と有識者に教えていただき、治りつつあることを実感しました。
回復までの流れ-回復期〜寛解まで
「ひま」を感じることができるようになってからは、散歩をしたり親の買い出しについて行ったりと、活動する時間を少しずつ増やしていきました。その後、「就労移行支援事業所」という障害者が就労を目指して訓練をすることのできる福祉サービスを活用し、毎日特定の場所に通い作業をする練習を重ねました。 重要なのは、ここで焦って活動しすぎないことだと思います。メンタルヘルスの問題を抱える方は真面目な方が多く、私の周りでも「これ以上迷惑をかけてはダメだ」とすぐに復職を目指す方が多いのですが、いきなりフルタイムでの勤務などを始めてしまうと、かえって状態が悪くなってしまい、再び長い時間の休養が必要になることが多々あります。特に私が患っている双極性障害は、活動的になりすぎてしまう躁状態に注意が必要な病気ですので、「できる」と思っても無理に動きすぎず、横になって目を閉じるようにしていました。
💡 効果的だったこと
効果的だった取り組み
精神面では、「信頼できる人に話を聞いてもらうこと」と、「自分に合ったセルフケアを実践すること」が効果的でした。 ただ、必ずしも周りに話ができる方がいるとも限らないので、そういった場合は「訪問看護」という定期的に生活上の相談などの支援を受けられる福祉のサービスを活用したり(手帳は必要ありません)、地域の自助会に足を運んでみるのも一つの方法だと思います。 セルフケアについては、「自分がストレスを感じやすい対象は何か」・「ストレスを感じた時どんなふうに考えやすいか」というように自己理解を深めてから、それに合った対処法を試し、効果のあったものを続けるようにしていました。
金銭面では、病院・薬局での自己負担額が3割→1割になる「自立支援医療」と月5.6万〜支給される「障害年金」の利用が効果的でした。精神疾患を抱えると働くことが難しくなり、金銭面でも大きな不安が生じます。この二つを利用するだけで生計を立てられるほどにはならないのですが、それでも私にとっては生活をしていく上で大きな支えになりました。想像していたより利用資格のハードルが低く、申請してよかったと感じています。
効果的だった周囲の支援
私の病気について理解しようと、病気の勉強をしてくれたことです。 それまでは、なかなか障害を受け入れてもらえなかった過去もあり、自分の症状について話すことが「言い訳」や「甘え」のように感じられ躊躇してしまいがちだったのですが、相手が障害についての知識を身につけてくれたことで、そのような不安が徐々になくなっていきました。 障害の症状を、私の性格上の欠点ではなく、あくまで病気の症状であると理解してくれたことが大きな安心に繋がりましたし、「症状」と「本来の自分」を切り離すことができたことで、自分を肯定できるようになりました。
また、温かい言葉をかけてもらったこともとても嬉しかったです。 特に「病気のことで苦しいとき、誰かに話を聞いてもらいたいけれど、こんな話をしても楽しくないだろうから相手に悪くて相談できない」と漏らした際、「あなたは相手に楽しんでもらうことに価値を感じているからそう思うかもしれないけど、人には言いづらい悩みを打ち明けてもらえること、頼りにされることに価値を感じる人もいる。少なくとも私はそっち側だよ」と言ってくれたことに、心が救われました。
💌 現在の様子・当時の自分にメッセージ
いま心がけていること
少しでも疲れを感じたら積極的に休息をとり、常にストレスが少ない状態を目指しています。 私は自分の心や体の変化に気づくことが苦手で、「まだ大丈夫」と思っていたら突然コップの水が溢れるように決壊してしまうタイプなので、寛解初期である現在は、自分が必要だと感じる分+一日の休みをとることを意識しています。 また、モヤモヤしたことがあれば、アプリ(Awarefy)にすぐに書き出して溜め込まずに発散するようにしています。
それから、今後は一人暮らしをする予定ですが、生活面から崩れていかないよう「居宅介護」という家事援助などをしてもらえる福祉のサービスを活用するつもりです。
いま、当時の自分に声をかけてあげるなら
「大丈夫、精一杯やれてるよ。そんなに自分を責めないで。」
精神疾患が原因で思うように生活や学業に取り組めないことに対して、ずっと「努力不足ではないか」と自分を責める気持ちがありました。 ですが、寛解した今は、うつ状態になるとエネルギーが低下し、健康だった時の自分や周囲の健常者の友人と同じ量をこなすことは当然難しくなることを知っています。だから当時の自分には、「そのときの私なりの精一杯を出していたし、それでもできなかったことは病気によるものだから仕方がないよ。病気のせいにしていいんだよ、できることはちゃんとやってきたよ」と伝えたいです。
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